発展編 第6章 経験者談 1 「向き・不向きについて」 松下 真弓 プログラム開発系の専門学校を卒業後、ソフトハウスに就職。汎用機のシステム開発を専門とする。結婚を機にフリーとして独立。現在は、情報教育アドバイザー(小・中学校勤務)、在宅請負業(データ入力を中心とし、パソコン関連全般)、各種インストラクション業(請負含)の3つを専門職とし、外注(20名)を管理。 信頼を得られる人か否か 私がこの仕事を始めてかれこれ10年。SOHOという言葉が、世に出回る前のことだ。このSOHOという言葉と同時に、たくさんのSOHO希望者が世の中に出てきたようだ。そこで、SOHOというものの向き・不向きということを改めて考えてみる。 一番重要なのは、まずその人自身の志だと思う。そして、これは仕事だということ。勉強でも、遊びでもなく、仕事である。仕事を完璧にこなしてこそ、信頼を勝ち得るものであり、たった1つの小さなミスでも、次の仕事には結びつかないということだ。信頼を得るというのは、非常に難しいのが現実である。その人の考え方一つで、仕事はなくなってしまう場合も多々ある。この働き方に向いている人というのは、まず信頼を得られる人だと思う。信頼を得るためには、まず言い訳をしないこと。それがたとえ非常に重大なことでも、まず信頼を失わない努力をすることだ。納期を守れなかった理由がちゃんとあったとしても、まずきちんとお詫びをすることである。 言い訳から信頼は生まれない 最初に言うのが言い訳である場合は、まず信頼関係は生まれないと思う。「子どもが病気で…」とか「体調を崩して…」などというのは、仕事を受ける立場の人としては、禁句である。子どもが病気で仕事ができないのだったら、もう仕事をもらえないというのが現実である。自分自身が請け負った仕事は、どんな理由でも仕上げないといけないのである。 私の義父が亡くなった時、私は山のような仕事の納期に追われていた。1月1日に亡くなったのだが、長男・喪主の妻という立場だったため、すべての葬儀の仕切りが回ってきた。仕事どころではないのだが、とりあえず斎場にパソコンを持ち込んで、親戚の者のひんしゅくを買いながら仕事をして、どうしても間に合わないと判断した時には、電話をかけまくって、頭を下げて、仕事を仲間に頼んだ。正月だったためか、ほとんど連絡がつかず困り果てたが、何とか間に合った。 三回忌が終わった今でも親戚の酒の席の話題には上るが、仕事は失わなかった。向き不向きというのとは違うかもしれないが、向いている人というのは、信頼関係をいかに勝ち取れる人かということだと、私は思う。 1つの仕事を完璧にこなすプロ意識が大切 単価が安くて、量が多くて、納期が短くても、1つの仕事を完璧にこなしていける人は、向いていると思う。納期が長くて、単価が高くて、おいしい仕事というのは、その会社内で仕上げてしまう。外注とも呼ばれる私のような人間に回ってくる仕事は、条件が欠けているものであるのは必須であり、今日の夜頼まれて、明日の朝8時までに納品というのは、ざらである。ほとほと体力が必要な仕事だと思う。世間でもてはやされる程、楽でも、いい仕事でもない。その現実に耐えていける人が、このSOHOという働き方に向いている人だと思う。 反対に不向きな人というのは、それに耐えていけない人、言い訳をする人、自己管理ができない人。この自己管理、例えば昼間どこでも眠れるような特技も、SOHOには必要である。いつどこで仕事が舞い込むか、いつ徹夜になるかわからない。眠りたい時に眠れるというのも、大事なことである。ここ1〜2年程で、SOHOという言葉が流行りだしてから、何人もの人が私の元に、仕事を紹介してほしいと頼みにくる。とりあえず何らかの仕事をお願いしたりもするが、その後始末に膨大な時間がかかっているのも事実である。まず校正をきちんとしていない。全ての仕事の基本は、その仕事に対するプロ意識ともいえる。 根本的に私は大雑把な人間だが、こと仕事に関してだけは、このプロ意識を忘れないよう努力している。 向き不向きというのは、自己管理で表われる結果であり、もしその不向きな人に仕事をしてもらった会社(人)は、私はとても気の毒な気がする。 |
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