実践編・自己診断から実施へ
第4章 実践マニュアル


2 仕事を設計する



自己資源を分析しよう

 在宅ワークを始める際、自己資源(自分の持っている資金、環境、身体等の要素)を分析し、仕事のできる許容範囲を把握しましょう。自己資源には、以下のようなものがあります。

(1)  一日に使える在宅ワークの時間はどれだけあるか
   使える時間は午前、午後、夜間でどれだけあるか。
   主要時間帯はどこか。
   完全に一人の時間か、それとも家族と共有の時間か。

(2)  在宅ワークを継続する体力はあるか
   一日に稼動できる時間を確保した場合、それは自分の体力に見合ったものか。
   既往症や何らかの問題がある場合は、それらと付き合いながら継続できる範囲か。

(3)  在宅ワークを開始し継続するだけの資金力はどれくらいあるか
   開始するための初期費用(ハード、ソフト、通信環境の整備にかかる費用)はあるか。
   初めて報酬を得るまで、あるいは仕事が軌道に乗るまでの生活費はあるか。
   スキルアップのための各種講座や交流会出席のための費用はあるか
   ハードやソフトのバージョンアップ費用があるか。
   付帯設備(コピー、FAX、MOドライブ、携帯電話等)を揃える費用があるか。

家族生活との調和と育児・介護・家事との両立方法

 次に考えるべきことは、家族との生活の中でどの程度の調整が可能かということと、家庭生活の中で行ってきたことを、どの程度外部委託ができるかということです。

(1)  パートナーとの育児・介護・家事の分担
   パートナーの勤務状況を考慮した際、どの程度の育児・介護・家事の分担ができるか。
   「朝食づくりはできる」「洗濯はできる」「週2回夕食は作れる」等、パートナーが可能な分担範囲を明確にする。

(2)  保育サービスの活用
   地域の保育所・学童保育の行政サービスを活用する。保育園には認可保育所、認可外保育所があるため、資金面との折り合いとそれぞれの特徴を把握することが大切。 特に認可保育所については、都市部では利用が困難な状況にあることにも注意する必要がある。延長保育、夜間保育、病児保育、緊急一時保育など多様な保育サービスが受けられるかもポイント。
   地域のボランティア主体の保育サービスや保育ママ制度、ファミリーサポートセンタ ー等を活用する。
   民間のベビーシッターサービスを活用する。

(3)  介護サービスの活用
   ホームヘルパーの派遣、デイケア、ショートステイ等行政の介護サービスを活用する。
   民間の有料サービスを活用する。
   地域のボランティア主体の介護サービスや給食サービス等を活用する。

(4)  家事代行サービスの活用
   家事代行サービス(食事づくりや掃除、買い物代行等)を活用する。シルバー人材センターなどで、廉価で家事をしてもらえる場合もある。

(5)  宅配サービスの活用
   買い物時間の短縮のための、民間の宅配サービスを活用する。
 以上のような方法を検討し、育児・介護・家事との両立を図りながら仕事の継続を目指していきましょう。

<フレーフレー・テレフォン>
 (財)21世紀職業財団では、育児・介護・家事代行のサービスに関する情報を電話で提供しています。
 相談日・時間  祝日を除く (月)〜(金) 9:30〜16:30

(全国のフレーフレー・テレフォン)
北海道 TEL:011-707-2020
青森 TEL:017-776-2020
岩手 TEL:019-622-2020
宮城 TEL:022-214-2020
秋田 TEL:018-866-2020
山形 TEL:023-642-2020
福島 TEL:024-524-2020
茨城 TEL:029-226-2020
栃木 TEL:028-625-2020
群馬 TEL:027-231-2020
埼玉 TEL:048-834-2020
千葉 TEL:043-225-2020
東京 TEL:03-3258-2020
神奈川 TEL:045-681-2020
新潟 TEL:025-243-2020
富山 TEL:076-444-2020
石川 TEL:076-234-2020
福井 TEL:0776-20-2020
山梨 TEL:055-254-2020
長野 TEL:026-232-2020
岐阜 TEL:058-265-2020
静岡 TEL:054-288-2020
 
愛知 TEL:052-541-2020
三重 TEL:059-226-2020
滋賀 TEL:077-523-2020
京都 TEL:075-213-2020
大阪 TEL:06-6946-2020
兵庫 TEL:078-794-2020
奈良 TEL:0742-64-2020
和歌山 TEL:073-426-2020
岡山 TEL:086-227-2020
広島 TEL:082-224-2020
山口 TEL:083-923-2020
香川 TEL:087-822-2020
愛媛 TEL:089-934-2020
福岡 TEL:092-414-2020
佐賀 TEL:0952-40-2020
長崎 TEL:095-832-2020
熊本 TEL:096-324-2020
大分 TEL:097-538-2020
宮崎 TEL:0985-20-2020
鹿児島 TEL:099-259-2020
沖縄 TEL:098-868-2020

無理のないスタイルの確立を

 さて、以上のような事柄を吟味した結果、あなたはどのようなスタイルを選択しますか。例えば以下の2つのケースの方をみてみましょう。


【ケース1】 要介護の祖母を家族に抱えるT美さんの場合
(44歳。東京都港区在住。母76歳)

 今年4月より母が区から要介護認定2として、行政のデイケア・サービスを週2回受ける。18年間の会社勤務後、2年前退職。今年、在宅ワーカーとして、ライターの仕事を始める。

【ケース2】
乳児を家族に抱えるI子さんの場合
(36歳。東京都大田区在住。生後6ヶ月の女児、夫、本人の3人家族。)

 12年間、外資系銀行に勤務。システム設計を行う。2月生まれの子どもが認可保育所の空き待ちで入所できなかったのを機に退職。通信講座を受けて税理士資格の取得を目指しながら、1日2時間程度、翻訳の在宅ワークを行う。



 「母一人子一人で育ったので、母が倒れた時に、すぐに退職しました。今年、介護保険が導入されてようやく少し時間が出来たので、少しずつ自宅にいてもできるライターの仕事を始めました」とT美さん。
 また、「認可保育所に入所できず、かといって認可外保育所に預けたら、給料の大半が消えてしまうという現実に愕然とし、思いきって退職しました。」とI子さん。長年、金融関係で働いていたため、これを機会に資格取得のための勉強を始め、残りの時間を得意の英語を活かし、翻訳の在宅ワークで学費の捻出をしています。
 このように2人とも、家族との調和と自分の人生設計を考えた上で、上手に在宅ワークを組み合わせています。

時間と報酬、どちらを取るか

 続いて時間と報酬のバランスについて、考えてみましょう。家族との時間を大切にしたいと思って始めた在宅ワークだったはずなのに、気がつくと子どもと会話をする時間もほとんどなく、食事も出前ばかり。休日も仕事にかかってしまうため、家族とゆっくり過ごす時間もない…。気がつくと、自分の理想としていた生活のスタイルからすっかり遠のいてしまったという話も耳にします。

 何のために報酬を得ているのでしょうか。例えば在宅ワークと並行して再就職に備えて資格取得を目指し、その学費を得たいからなのか、起業するための資金づくりなのか、パートナーに気兼ねをすることなく自分の自由になる範囲の金銭を少しだけ欲しいのか、正社員ほどの時間を仕事に費やしたくないので、短時間でできる分の報酬が欲しいのか。その判断を見誤ると、生活のバランスを崩してしまいがちです。家族と過ごしたり、自分の自由になる時間を多く持つことと高い報酬は同時には手に入らないのです。そのことを念頭に入れた上で、自分の生活の中での在宅ワークの位置付けを明確にしましょう。

職種の傾向を研究しよう

 自己資源を分析し、家庭との両立を考えて対策も講じ、目指すべき方向が決まった後は、自分のやりたい職種が現在、どんな傾向でどんな課題を抱えているかも研究していきましょう。

 例えばパソコン初心者がすぐにできる仕事として飛びつくのが、データ入力です。辞典類(国語、漢和、英和、和英、人名、地名、現代用語等)やパソコン、データ入力用のソフト、入力したデータ校正用に印刷するプリンタ、手書き原稿受信用のFAXなどがあればすぐに始められます。ところが一番人気の高い職種だけに、競争率も高く、仕事を獲得するのが大変な上、報酬も下落気味です。報酬が低いということは、時間あたりの成果をかなり高めなければ採算が取れません。採算を取るためには、ブラインドタッチは必須ですし、「いかに時間あたりの単価を高めるか」を常に考えて仕事にあたる必要があります。

 DTPの場合はどうでしょうか。これもページあたりの単価は4〜5年前の3分の2程度と言われています。以前、DTPの分野はマシン自体が一般のユーザー向けではなく、一部の専門業種(印刷関係やプロダクション等)のクリエーターが使っていました。現在、マシンは当時よりも安くなり、敷居が低くなったものの、ソフトの価格は依然として高価で、いわゆるDTP専用といわれるソフトを3種類揃えただけで、50万円相当になってしまいます。また、印刷用の「ポストスクリプトタイプ」といわれる書体は一書体2万円程度かかります。ポストスクリプトタイプ専用のプリンタも一般的によく使われるプリンタよりも5〜10倍近く高価なものです。これらを最初から揃えて果たして採算が取れるでしょうか。よほど営業努力をして仕事を確保していかなければ、先行投資をした分は回収できません。そのためには「勉強をし、経験を積みながら少しずつ設備投資していく」ことが望ましいでしょう。

 ライターの場合は、一般的にあまり先行投資はかかりません。パソコンと文章を書くためのテキストエディタ、通信環境があればまずは大丈夫です。その他に辞典類やプリンタがあれば十分です。また、現在は調査を行ったり資料を閲覧したりすることも、インターネットを駆使すれば、図書館に通うこともなく容易に行うことができます。しかし、ある程度、「速く正確に書けること」と「企画力」が要求されます。また、パソコン周辺の知識や情報を伝えるテクニカル・ライターの分野においては、マシンやソフトのバージョンアップが早く、情報も多岐にわたるため、常にアンテナをはって最新情報を獲得していかなければなりません。

 テープ起こしはどうでしょうか。テープレコーダー(フットコントロール付きのものが専門的)、辞典類、パソコン、プリンタ、テキストエディタがあれば十分ですが、最近の技術革新で、録音はテープレコーダーからMDに移行しつつあります。現在使用しているテープそのものが無くなる可能性もあります。そのためには、最新技術の動向をキャッチしていくよう心がけましょう。

 このように現在、行われている職種であっても、技術革新が進み、現在の情報やノウハウが役立たなくなってしまうおそれもあります。在宅ワーカー同士で交流したり、特定の業種の情報に絞ったBBSMLMMなどを上手に活用して、常に最新情報を入手できるようにしていきましょう。


戻る次へ



トッページ


Copyright (c) 2003 JAPAN PRODUCTIVITY CENTER FOR SOCIO-ECONOMIC DEVELOPMENT All right reserved.