基礎知識編・在宅ワークを知る 第1章 在宅ワークとは何か 4 在宅ワークの位置付け あなたは、なぜ在宅ワークをしたいのでしょうか 在宅ワークの位置付けは、個人個人にとって千差万別です。
中・長期的なキャリアの中で、どう在宅ワークを位置付けるか 在宅ワーカーとして働くことを選択した方に、中・長期的なキャリアの中で、どう在宅ワークを位置付けているかを聞いてみました。 ◎山口智子さん (36歳。3歳、8歳の男児、夫と4人家族。千葉県鎌ヶ谷市在住。在宅ワーク歴3年) 「大学では情報処理を専攻。情報処理技術者として会社勤務をしていましたが、妊娠を機に退職し、妊娠中に在宅ワーカーのエージェントに登録し、少しずつ仕事を始めました。最初はデータ入力から始めました。 子どもが少し大きくなってきたので、下の子はプレ幼稚園(就園前の預り保育)に、上の子は学童保育に預けて、昼間の自由になる時間を獲得しました。現在では、在宅の仕事だけではなく、中学校でパソコンサポートをしたり、専門学校で教えたりもしています。また、在宅ワークの仕事としては、ホームページのコンテンツの制作やプログラミング、情報処理試験の問題を作成したりと、多岐にわたっています。 もともとパソコンやパソコンの仕事が好きなので、仕事をすること自体は苦にはなりません。しかし、もっとお金を稼ごうとか起業しようという欲はないのです。現在の家庭生活を中心にした生活が気に入っているからです。天気の良い時は、仕事の合間に布団が干せるなんて、素敵じゃないですか。会社員時代にはできないことでした。 子どもが大きくなってきたら、少しずつ仕事ができる環境も幅も変わってくると思いますが、現在の状況の中で、自分のできる最大限のことをすること、つまり顧客にとっては最良のパートナーとなることが、私の目標です。」 山口さんの場合は、もともと会社員時代が専門職だったため、比較的仕事の復帰がしやすく、また子どもの成長に合わせて少しずつ、仕事の幅や時間も増やしていったことが伺い知れます。しかし、彼女の中ではまずはそのベースに家庭があり、家庭を良好に維持していく上で、どう自分の仕事や仕事のパートナーと向き合うかが、課題となっているようです。 いずれにしても育児期等にある者がキャリアを中断されず、家族的責任との両立を図りながら、個人の生活や人生を豊かにできる就業形態となることが、望ましい姿と言えるでしょう。 発注事業所にとっての在宅ワーカーの意義 一方、JIL調査により在宅ワーカーへの発注事業所をみてみると、その業種は印刷・出版(28.2%)、ソフトウエアと情報処理サービス(26.9%)の2業種で過半数を占めています。その他、土木・建築・機械設計(15.7%)、広告・宣伝物制作(9.3%)、デザイン(6.0%)、調査・経営コンサルタント(5.6%)となっています。 在宅ワーカーへの仕事の発注を開始した年は、調査時点から3年以内が31.0%、10年以内では66.2%となっており、近年発注を開始した事業所が多いと言えます。 主な発注理由(複数回答)は、専門的業務の対応(39.8%)と繁忙期への対応(37.0%)が最も多く、次いで人件費コストの削減(31.0%)、労働力の確保(27.3%)、退職労働者の活用(18.1%)となっています。 在宅ワークの問題点(複数回答)としては、「仕事成果の個人差が大」(44.9%)が最も多く、次いで「必要時に必要量やってもらえない」(32.4%)や「優秀な人材の確保が難しい」(31.5%)を指摘するものが多いです。(図5)。
また、調査時から過去1年間に在宅ワーカーへ仕事を発注したことがない企業に、今後の導入見込みや可能性を尋ねたところ、「可能性はあると思う」が47.3%を占め、現に「導入について議論検討中」(3.8%)を加えると過半数の事業所で可能性を示しています。 このように、発注事業所にとっては、流動する業務量や時々刻々変化する専門分野を業務委託することによって、人件費や雇用管理の負担を軽減し、弾力的な経営スタイルを可能にしてきました。その結果、在宅ワーカーを束ねるエージェントも多々、ベンチャー企業として輩出されてきています。 そして、今後、IT(情報技術 Information Technology)が国や自治体、企業の優先課題として扱われる中、在宅ワーカーが担う、社会での役割が益々期待されるといえます。それだけに一人一人の在宅ワーカーが将来に向けたビジョンを持って、仕事に取り組んでいくべきでしょう。 |
| ≪戻る┃次へ≫ |