基礎知識編・在宅ワークを知る
第1章 在宅ワークとは何か


3 在宅ワークの現状



 日本労働研究機構※1(JIL)が1997年に行った「情報通信機器の活用による在宅就業実態調査」※2の結果を見てみましょう。

文章入力、テープ起こし、データ入力に多い在宅ワーカー

 在宅ワークには多種多様なものが存在しますが、文章入力やテープ起こし(43.7%)、データ入力(25.2%)といった比較的単純・定型的なものに携わる在宅ワーカーが多く、その他の職種に関しては、設計・製図(14.8%)、デザイン(11.5%)、DTP・電算写植(11.1%)、プログラミング(10.4%)、翻訳(9.3%)、システム設計(6.3%)となっています(複数回答 図1)。

図1 在宅ワークの職種(複数回答)
資料出所:  日本労働研究機構「情報通信機器の活用による在宅就業実態調査」
(平成9年10月実施)。なお、以下の図も同様。

内職アルバイトと専業自営

 在宅ワークを副業的に行っているか、生活のために行っているかでとらえた場合、「内職アルバイト」派が最も多く、次いで「専業自営」となっており、派遣が途切れた時やパートと並行して行う「派遣・パート勤務との兼業」や夜間や休日に行う「会社員勤務や自営業の副業」派は比較的少ないという状況です。特に子どものいる女性では内職アルバイト型が、男性では専業自営型が8割弱を占めます。同じ在宅ワークと言っても、女性の場合は「育児との両立」を、男性の場合は専門性が強く「仕事へのインセンティブ」が高い働き方を選択していると見てとれます。

育児期の女性が中心

 在宅ワーカーの数は17万4千人と推定されます。また、在宅ワーカーの70.7%が女性であり、特に在宅ワーカー全体の49.6%は子どものいる女性で、その過半数(55.2%)は末子の年齢が6歳以下の育児期にあります(図2)。
 学歴は比較的高く、大卒以上が34.4%、高専・短大卒が15.2%となっています。
 また、在宅ワーカーの97.0%が在宅ワーク開始までに会社員等として勤務経験があります。
 在宅ワークの継続期間は全体的に短く、1年未満が20.0%、1〜2年未満が10.7%であり、5年未満計では59.6%となっています。
 子どもがいる女性の働く理由(複数回答)としては、「家計の補助」(59.0%)や「副収入を得る」(34.3%)という経済的要因とともに、「能力経験を活かす」(45.5%)、「社会とのつながりを持つ」(29.9%)といった要因も多数を占めています(図3)。

図3 子供のいる女性が働いている(複数回答)

 在宅ワークを選んだ理由(複数回答)については、「自分のペースで柔軟・弾力的に働ける」(63.7%)、「家族や家事のため」(48.1%、特に子どものいる女性では79.9%)、「自分がやった分だけ報われ働き甲斐がある」(35.6%)が上位を占めています(図4)。

図4 在宅ワークを選んだ理由(複数回答)

 結婚・出産育児によっていったん離職した既婚女性の再就職の受け皿は従来、パートタイム労働が大半でした。しかし、情報化の進展に伴い、情報通信機器を利用することによって、在宅ワークというワークスタイルが出現しました。在宅ワークは、子どもを置いて家を空けることが難しい育児期の女性などにとって、「仕事と家庭の両立」が可能となる柔軟な就業形態として有力な選択肢の一つとして注目と期待を寄せられています。

※1 日本労働研究機構(JIL) http://www.jil.go.jp/
 厚生労働省の関係団体で、多様化する労働形態などについて調査・研究を行っています。テレワーキング研究会は、@Nifty在宅ワーキングフォーラム(FWORK)と連携して、在宅ワーカーの就業実態調査を行っており、ホームページ上で報告結果は閲覧可能です。

※2 「情報通信機器の活用による在宅就業実態調査」
 引用データは同調査に基づく。以下JIL調査と記す。「在宅就業」の定義は、「パソコン、ワープロあるいはファックスなどの情報通信機器を使って自宅で請負・フリーの仕事を行うこと」とされている。調査の対象は、情報通信機器活用の在宅就業が普及しているとみられる業種に限定。具体的には、印刷・出版・同関連産業、広告・調査・情報サービス業、専門サービス業(土木建築サービス業、経営コンサルタントサービス業、機械設計業、デザイン業、翻訳業)、その他の事業サービス業(速記・筆耕・複写業、広告制作、労働者派遣業)。事業所調査は、予備的調査により在宅就業の実施が確認された677社を対象に実施(有効回答216社、有効回答率31.9%)。また、個人調査は、当該事業所が過去1年間に発注した在宅就業者2,278人を対象に実施(有効回答270人、有効回答率11.9%)。


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