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以前は編集プロダクションや出版社を経て独立、というのが定石的なケースだったのが、インターネットの発達により、まったくその世界に関わることなくデビューしてしまう人が飛躍的に増えました。結果、確かに間口は広がりましたが、自分が身を置く業界について、最低限の知識を持たないで仕事を進めてしまったために、さまざまなトラブルに見舞われることも出て来てしまいました。そこで編集・執筆を請け負うTさん(38歳/女性)に出版業界の慣習とトラブル事例について伺ってみました。

■出版中止になった本をめぐるトラブル
A出版社の会長が気に入った洋書を翻訳して出版することを考え、知り合いの大学教授に若手研究者Bさんを紹介してもらい、翻訳を依頼しました。しかし、Bさんから上がって来た翻訳の原稿は、日本語としてとても読めるような仕上がりではなく、今後、出版社の編集部で大幅な手入れが必要とされるような状態でした。そのうちにA出版社の権力が会長から社長へ移り、それに伴い翻訳本の出版計画も中止となってしまいました。
中止とはいえBさんに翻訳をしてもらっていたので、A出版社の会長は、当初の予定より若干少なめの金額を支払うように提案したところ、Bさんは納得せず、本を出すように要求しました。
結局、出版はしないまま、当初の予定全額をBさんに支払うことになったのです。BさんはA出版社に対し誠意がないと言い、A出版社はとても出版できるような状態ではない原稿に全額支払うことになってしまい、お互いに後味の悪い結末になってしまいました。
発注元の社内の都合で仕事が立ち消えになった事例。常にリスク管理を心がけましょう。

■筆者に買い取りを迫る出版社(専門書)
責了まで進んだ段階で、「買い取らないと本が出せない」と言って筆者に買い取りを迫るケースがあります。筆者は、せっかく責了までいったのだから本を出したいと思い、無謀な部数の本を買い取る契約にサインしてしまうこともあります。
筆者側が専門書というものがどういう状況にあるかわかっていなかったため、こうした出版話にのってしまった例です。必ずしも出版社側の言うがままに買い取らなければ出版できないわけではありません。たとえば、「それならば出さなくてもいい」と突っぱねてみるのもいいかもしれません。また、出版は自分の実績にもなるので、買い取りを了承するにしても、買い取る部数を相談することもできます。
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